1 治安情勢及び一般犯罪の傾向
(1)当事務所管轄4州(パラー州、アマパー州、ピアウイ州、マラニョン州)は、拳銃を使用した強盗等が昼夜を問わず絶えず発生しており、注意が必要である。
(2)最近では、銀行利用者を襲った強盗事件「SAIDINHA」や銀行の支店長等を短時間誘拐し、身代金を奪う事件「SAPATINHO」が頻繁に発生している。
2 殺人・強盗等凶悪犯罪の事例
(1)邦人の殺人・強盗等
ア 4月3日(木)18:30頃、パラー州ベレン市マルコ地区のスーパーマーケットLIDER内設置ATMにおいて、ブラジル銀行のATMを使用した際、現金の引き出しができず、計4回操作を行った。結果的に現金
を引き出すことができなかったため、隣接する他行のATMを利用して1,000レアルを引き出した。被害者はブラジル銀行での取引が成立しなかった事を不審に思い、インターネットバンキングからメインバンク(UNION
BANK)の残高を確認したところ、同日4回にわたりサンパウロ州内にて現金が引き出されていたため、同行に通報すると共にキャッシュカードの使用停止を依頼した。
イ 4月4日(金)18:00頃、パラー州ベレン市サンブラス地区のスーパーマーケット、YAMADA・PLAZA内設置ATMにおいて、24時間ATMを現金(1,000レアル)引き出しのため利用した。8日にメインバンク(UNION BANK)より、利用状況につき問い合わせがあり、7日~8日にかけて、パラー州を含む国内の複数箇所で数回にわたり使用されていることが発覚したため、直ちにキャッシュカードの利用停止を依頼した。
ウ 4月14日(月)に、パラー州ベレン市サンブラス地区のスーパーマーケット、YAMADA・PLAZA内設置ATMにおいて、24時間ATMを現金(1,000レアル)引き出しのため利用した。23日にメインバンク(UNION BANK)より、利用状況につき問い合わせがあり、同日パラー州を含む国内の複数箇所で数回にわたり使用されていることが発覚したため、直ちにキャッシュカードの利用停止を依頼した。
エ 4月14日(月)に、パラー州ベレン市サンブラス地区所在薬局(B
IG BEM)内設置ATMにおいて、24時間ATMを現金(1,000レアル)引き出しのため利用し、自宅にてネットバンキングでメインバンク(ユニオンバンク)の残高を確認したところ、不正利用は無かった。
15日、メインバンクより被害者に対し電子メールにて、同日伯国内の複数箇所で数回にわたり使用されており、メインバンクの判断で利用停止状態とする旨通知された。
16日、同ATMを現金(1,000レアル)引き出しのため再度利用した
ところ、利用できなかったことから、被害者よりメインバンクに対し、利用状況を確認するため問い合わせを行った。
オ 6月6日(金)午前2時頃、パラー州ベレン市サンブラス区イビスホテル前で、当地を旅行で訪れた被害者は、ベレン国際空港からタクシーを利用してホテルに到着したが、チェックイン前に周囲を散策していたところ、ナイフを所持した犯人グループ2名に襲われた。所持品を出している時に人通りが多くなってきたため、犯人グループはiPhone1台を強奪し、その場を後にした。被害者に怪我はなかった。
カ 6月11日(水)午前11時55分頃、パラー州アナニンデウア市国道
316号線3km地点交差点付近(当事務所から約10km)で、邦人夫人、子弟2名が現地指定校から自家用車で下校途中、上記日時、場所で信号待ちをしていたところ、前方で停車中の市バスが、信号が青に変わったにも関わらず発車しないため、少し待機していると、バス車内で銃撃戦が始まり、身動きが取れない状態となった。邦人が雇用している運転手を含め全員が、銃声が鳴り止むまで身を屈め、流れ弾から身を守る措置を取り、銃声が鳴り止むのを待っていたところ、周囲の車輌が動き出したため、邦人夫人、子弟2名を乗せた自家用車も避難した。邦人夫人、子弟2名に怪我はなかった。
キ 6月17日(火)12時頃、パラー州ベレン市イコアラシ郡タパナン地
区所在、北部材木加工会社内で、鋭利な凶器を所持した犯人グループ(3名)が客を装い、事務所内に侵入し強盗であることを告知した。同事務所内には被害者のみで、犯人1名が被害者の手足を縛り監禁した。その隙に別の犯人(2名)が室内の金品等を物色したが、金品等が見当たらなかったため、腹いせに被害者の腹部に鋭利な凶器で一刺しした。犯人グループは被害者の現金、携帯電話1台、パソコン1台を強奪し、その場を後にした。被害者は重傷を負い病院に搬送された。
(2)その他の強盗等被害(邦人以外)
ア 4月6日(日)午前4時頃、パラー州ベネビデス市セントロ地区ミラ
ンダ・マテウス通り1700番地付近で、被害者が帰宅途中、拳銃を所持した犯人グループが同被害者に対し、銃口を突きつけ強盗であることを宣言した上で、現金、携帯電話を出すよう脅迫した。被害者が抵抗し逃走したため、犯人グループは被害者に数発発砲した。被害者は頭部、上腕部等に5発被弾し、即死であった。犯人グループは現金、携帯電話を強奪し、その場を後にした。
イ 4月9日(水)13時50分頃、パラー州ベレン市ウマリザウ地区ジェネラリッシモ・デオドロ大通りとボアベントゥーラ・ダ・シルバ通り付近所在の病院内で、被害者(医師)が診療室で診療中、拳銃を所持した犯人(1名)が病院駐車場担当警備員を制圧しそのまま病院内に侵入した。事務員に対し拳銃を突きつけ、現金等を出すよう脅迫し、診療室内に居た被害者、患者に対しても現金等を要求した。犯人は被害者が抵抗したため発砲し、現金及び携帯電話6台を強奪してその場を後にした。被害者(医師)が腹部に被弾した。
ウ 4月16日(水)午後3時頃、ベレン市ナザレ地区ナザレ通りとドナ・マリア・レオポルジーニャ通り交差点付近で、被害者(2名)はバチスタ・カンポス地区パドレ・エウチッキオ通りとフェルナンド・ギリョン通りの交差点に所在するブラデスコ銀行を利用し、その際に4,000レアルを引き出した。被害者は上記場所にて信号待ちをしていたところ、真横に停車したオートバイに乗車した犯人グループ(2名)が窓越しに拳銃を向け強盗を宣言した。被害者が窓ガラスを開放しなかったため、犯人は同ガラスを割り助手席に居た被害者の鞄を強奪し、その場を後にした。被害者に怪我はなかった。
文民警察サンブラス署によれば、銀行から出てきたところを狙う「SAIDINHA」被害が多発しているため、銀行利用者に対し、注意喚起を行っている。
エ 5月10日(土)11:00頃、被害者がベレン市ウマリザウ区に所在するイタウ銀行を利用し、現金を引き出し、その後ベレン市ウマリザウ区ボアベントゥーラ・ダ・シルバ通りとアウミランテ・ヴァンデウコッキ通り交差点で、被害者が運転する車輌が信号待ちをしていたところ、後方から犯人グループ(2名)が乗車するオートバイが真横に停車し、窓越しに拳銃を突きつけ、ハンドバックを渡すよう脅迫した。被害者がハンドバックの引き渡しに抵抗したところ、犯人グループは強制的に強奪すると、逃走間際に被害者車輌へ数発発砲した。被害者は大腿部に被弾し重傷を負ったが命に別状はなかった。犯人グループはジョアン・バウビ通り方向に逃走した。
文民警察では、銀行利用者を標的とする「SAIDINHA」被害が多発しているため、利用者に対し注意喚起を行っている。
オ 5月10日(土)20:30頃、ベレン市ウマリザウ区ドン・ロムアルド・デ・セイシャス通りとオリベイラ・ベロ通り所在のアイスクリーム店「CAIRU」で、店内に40名程度の利用客がいたところ、拳銃を所持した犯人グループ(3名)が押し入り、従業員に対し売上金を出すよう脅迫した上で、利用客に対しては、壁に手を突くよう指示した。犯人グループは売上金と利用客の現金を強奪し、その場を後にした。利用客に怪我はなかった。
カ 5月28日(水)午前中にベレン市ナザレ地区コンセリェイロ・フルタード大通り所在のパラー州立銀行ナザレ支店長(被害者)が出勤の途中、家族を学校に連れて行くためナザレ地区を徒歩で移動していたところ、銃器を所持した犯人グループ(4名)に誘拐された。被害者と家族は別々の車輌に乗せられ、支店の開店時間である10時頃まで市内を連れ回された後、同支店に向かった。犯人グループは被害者に対し、解放の条件として70万レアルを要求すると、犯人グループ(2名)は被害者を伴い、行内に入り現金を強奪した。実際の被害額は約50万レアルであった。犯人グループは現金を確認すると被害者を支店周辺で解放した。同様に誘拐された家族はバチスタ・カンポス地区の公園で解放された。被害者に怪我はなかった。
州文民警察組織犯罪課マウロ捜査官によれば、最近、銀行の幹部及び家族を人質に取り現金を要求する「SAPATINHO」が横行している。
3 テロ・爆破事件発生状況
管轄地域内においてテロ・爆破事件は確認されていない。
4 誘拐・脅迫事件発生状況
管轄内において、邦人の被害は認知されていないが、人質を伴う強盗事件が頻発しているため、注意が必要である。
5 対日感情
良好
以上 |